20 3月 【前編】高校生で起業!?注目の新米社長・せいまって?<インタビュー>

今SNSを中心にバズっている、高校3年生で起業したせいまさんって知っていますか?
2024年1月の能登半島地震で被災した石川県・能登の復興のため、SNSを活用してお土産の開発事業を行う彼にインタビューを決行!
前編では起業に至るまでの軌跡や、会社設立半年を経ての想いに迫ります。
インタビュー〈能登のためにできること〉
━ 起業を思い立った具体的な出来事や動機はありますか?
自分自身ずっと生徒会活動をしていて、やっぱりその生徒会活動の経験ってのが一番大きいかなと思っています。生徒会活動をいろいろ行う中で、学校でいろんなことをしたいってなるとやっぱり企業さんのご協力が必要だったりするんです。それでお願いする時に、いち学生としてだとすごく難しい経験もあって、「すみません法人様しか相手できません」と言われてしまうことも多くて。そんな時に、“法人を持ってる”ということはそういうパワーがあるんだなっていうのを漠然と実感していたというのはあります。
ただそこで「じゃあ起業しよう」って思う感覚は全くなくて。そもそも起業っていうのが高校生でもできるものとすら思ってなくて。本当に知識ゼロの状態だったんですけど、生徒会活動を終えて能登のために何かをしたいなっていうのはずっと思っていました。
生徒会活動のそういったトラウマじゃないですけど、企業しか相手してもらえなかったりとか、自分に何ができるのかなっていうことを考えたときに必然的に企業さんと何かをするとか、そういうものを勝手に選択肢から減らしていてそういう意味で何かできることはないかって考えてはいたんですけど。でも自分たちでだけで何かをするってすごく難しいなとは思っていました。
そんな時に自分の住んでいる加賀市が国家戦略特区というものに指定されて、起業支援のようなものが始まったんです。そのスタートとして加賀市の方から「向出(せいま)くんなら生徒会などでもすごく精力的に活動されましたし、どうですか?」とお声掛けをいただいて、それならやってみようと思い、起業したという流れですね。

━ 加賀市がせいまさんの存在や活動を知ったのはどんなきっかけだったんですか?
元々生徒会活動でアイス自販機というものを置いたりして、X(旧Twitter)とかでも1550万インプレッションを取れてすごくバズったことがあったんです。あとは那須川天心さんを学校にお呼びしたりとかで、行政の方も認知はしてくれていたみたいです。
実際に声をかけようと思ったきっかけは、加賀市のイノベーションセンターという起業支援を行っている場所があって、そこのスタッフさんのお子さんが中学校の学習塾に通われていて、そこで高校の代表として僕がその塾に説明しに行ったタイミングで僕の話を聞いて、高校生でもこんなことできるんだっていう風に思っていただけたらしくて。「向出くんならもしかしたら起業の世界に挑戦してみてもできるんじゃないか」っていう風に思っていただいて、実際にお声がけしていただいたっていう感じですね。

━ なるほど、精力的な活動を注目してもらってという流れだったんですね。生徒会をやりたいと思ったそもそもの動機はあったりするんですか?
自分は小さい頃から結構人前に出るのが好きだったりとか、目立ちたがり屋だったっていうのもあるので何かしたいなっていうのはずっと思っていて。ただ中学生のときは、正直そこまでやる気とかも持てなくて、生徒会自体には一応入ってはいたんですけど、形式だけというか、既存の生徒会にある仕事をただこなすっていうだけで、でもそれをすごく自分は後悔して。自分で何かをできなかった、何もしようとしなかった自分がすごく情けなく感じて。
高校では絶対変えてやろうって自分自身で思って、もうそれを心に決めて入学をしました。それで高校1年生の終わりあたりから生徒会に立候補して、この2年間活動をしました。
━ 起業するにあたって影響を受けた人や経験などはありますか?
よく「こういった活動は何が原動力なんですか?」と聞かれることがあるんですけど、人の存在っていう意味では兄の存在が大きいかなと思ってます。というのも自分は片親で母親が女手一つで育ててくれていて、兄とは7つ離れているので、兄もたぶん「自分が父親代わりにならないといけないな」っていう風に考えていてくれていたんじゃないかなと思っていて。小さい頃から父のように僕に接してくれていて、実際、母子家庭ということもあり金銭的な余裕もあまりなかったので、大学進学も兄は諦めてくれたりしていたんです。兄は僕に対して期待をしてくれているから、これまで自分を犠牲にしていたところもあると思うので、自分は絶対に兄の期待に応えないといけないなっていう気持ちが大きくあります。

あとはやっぱり兄が7つ上で幼い頃から何をしても勝てなかったので、その経験から他人とは違う勝ち方を考えるような癖付けは小さい頃からされていたのかなと思っていて。だから、ただ勉強するとか、ただスポーツ頑張るっていうことももちろん良いと思うんですけど、それでは兄には絶対勝てなかったので、兄が挑戦しなかった分野を攻めようと思って、必然的に他人とは違う路線に走るような感じに育ったのかなとは思っています。
━ 育ってきた環境が大きい要因になっているんですね。今されているメインの事業内容だったりその特徴や強みは何か教えてください。
今はお土産「ミルクとしお」の制作を主な事業として行っています。やっぱり能登のために何かしたいと思って企業した部分もありますし、生徒会のときに門前払いされた経験もあったので、起業をしてそこで行う初めての大きい事業としてお土産開発を行っています。
その他にも、SNSにアップした動画を褒められることがすごく多かったりしたので、「動画制作してくれませんか」という風にご依頼いただいたお仕事をお受けしたりもしているという形ですね。
━ 去年の8月に企業されて今半年と少し経ったと思うんですけど、ここまで話題になると想像はしてましたか?
いや正直全く想像してなくて。高校生が起業っていうのはすごく話題性というか、注目はしてもらえるかなと思ってはいたんですけど、ただその注目されるっていう範囲も加賀市内とか自分の学校の人たちは認知してくれるだろうなっていうのは想定はしてたんですけど、こういう風に全国の方から反響をいただけるってのはもう全く想像できてなかったです。
━ 認知されるまでのスピード感はどのくらいを想定されていたんですか?
想定としては、3ヶ月以内にフォロワー1万人いけたらすごいよねって思っていて。今ちょうど3ヶ月ぐらい経過したタイミングなんですけど、今の段階で1万人いけたら良いなと思っていたところが、既に4万人ちょっといるので、倍率でいうと想像の4~5倍ぐらいの方にフォローいただいています。

━ 4倍すごいですね!かなりのスピード感ですね。学業と起業家としての活動はどのように両立させていましたか?
自分が高校3年生の8月に起業して、その時期は受験期真っ只中で、今からみんなすごく力入れて勉強するっていう時期に起業したっていうこともあるので、正直両立できていたかと言われれば不安なところはあるんですけど。結構時間を使い分けてたっていうのはあるかなと思います。学校の時間内は学校にしっかり集中して勉強する、逆に放課後の時間はもう仕事にめちゃめちゃ集中する。休日とかも土曜日は勉強しよう、でもその代わり日曜日は勉強忘れて仕事しようっていう風に、明確に分けて両立させていたっていうのが結構秘訣というか、良かったかなとは思っています。
━ 起業したときの周囲からの反応だったり、サポートなどは何かありましたか?
一番支えてくれたのは親かなと思っています。普通我が子が突然「起業するわ」って言ったら、ええ⁉ってなって、もちろんリスクがあるので否定するような親も割と多いと思うんですけど、自分の親は僕が決めたことに対して信頼してくれているというか。もちろん「しっかり考えたの?」と聞いてはくるんですけど、「僕はこう考えて、リスクに対してこういう風に思ってるよ」って伝えたら、すごく僕のことを信頼してくれて、そういう自分の意見は結構尊重してくれる親だったので、そこの支えがあったからこそ起業はできたかなと思っています。
あとは学校なんですけど、一つのエピソードとしては、自分の学校はバイトが禁止で。ただ加賀市からこんなお声がけがあって僕が起業するってなったときに、「起業するのに利益を追求しなかったら意味ないじゃん」って話だと思うので、学校で緊急職員会議を開いていただいて、バイト禁止だけど起業はどうする?っていう内容で職員会議していただいたんです。結果としては、“バイトは禁止だけど起業は許可する”という形になって。だから自分の学校の抜け道の一つで、どうしてもバイトしたかったら起業ならOKっていう抜け道を作れたっていうエピソードもあります。
━ すごいですね、学校にとって革命児だったんじゃないですか?
そういう存在になれていたらとても嬉しいです!(笑)
━ 地元である加賀市のコミュニティや行政からの支援などは企業支援以外に何かありましたか?
加賀市は“スマートシティ”に指定されていて、デジタル関係について学ぶ場があったり、それこそMicrosoftの責任者の方とかも来られたりするような町ではあるのですが、そういう機会があったときに「ぜひ向出くんも、本来であれば有料ですがぜひ無償で来てください。」っていう風ににお声がけいただけることもあって、経験をたくさん積ませていただいたなと思っています。
━ 手厚いサポートがあったんですね。これまでに直面した困難や課題などありましたか?
やっぱり一番最初にぶつかる課題としては資金面かなと思っていて。起業はしたといっても、もちろん高校生なので、今までの稼ぎの貯蓄があったとかそういうわけではなくて、特にこういう“お土産”としてのプロダクトを作るっていう面では、なかなか資金的な部分をクリアするのが難しかったなとは思っています。実際クリアした方法としては、本当にここもすごくいろいろ考えてお土産屋さんの方に「自分たちがSNSで頑張ってバズらせるのでちょっと待っててくれますか。」という風に言って、お土産屋さんの方にも「わかった、信じて待つよ。」と言っていただけて。本当に、お互いがお互いを信頼し合った結果、今はクラウドファンディングで260万円ほど集めさせていただいて、資金面っていう部分はクリアすることができました。
━ そこから得た、今後に活かせる学びのようなものはありましたか?
何事も人と人との繋がりなんだなっていうのを感じています。生徒会活動をしていたからこそ、生徒会活動でできた繋がりを生かしたからこそ起業にも繋がったと思うし、起業したからこそ出会えた方と今このような活動をできているし、小さな頃から通わせていただいてたお菓子屋さんに製造をお願いできたり、人との繋がりがあったからこそ今にたどり着いてるのかなと思います。実際にタレントの指原莉乃さんともお会いできたりしたことも、フォロワーさんが応援してくれていたからこそだと思うし、本当にいろんな全ての方との繋がりがあってこその今だと思ってるので、人とのご縁というか、そういうものは大切にしていきたいなっていうのを本当に強く思いました。

━ この先やりたいことや目標など、今後のビジョンがあればお聞かせください。
今は自分がお土産をこうやって作っているっていうのを大勢の方に認知していただいたので、正直、今のこのポジションっていうのは手放したくはないなと思っています。あとは自分のこの活動を見て「私も勇気もらえたよ」とか「せいまくんが頑張ってるその姿が一番嬉しかったです」っていう風にお声がけいただいたりすることも多くて。僕はこれからも「ミルクとしお」を通して何かをするんじゃなくて、活動している過程自体に価値があるんだなとすごく感じたので、そういう意味では「ミルクとしお」っていう商品だけじゃなく、新しく何かに挑戦することに対してのSNS発信は続けていきたいなと思っています。今は石川県のお土産づくりが僕にとっての挑戦だと思うんですけど、それを石川県だけじゃなくて、日本全体、それから世界に広めるというベクトルに変更して新しく始めていきたいなとは思っています。
・・・
今回は高校3年生で起業しSNSを中心に大きく話題となったせいまさんの、起業に至るまでの軌跡や会社設立半年を経ての想いに迫りました。
後編では、自ら開発を計画し会社のメイン事業として掲げるお土産「ミルクとしお」について深掘りします!
プロフィール

■せいま(株式会社ADTO代表取締役 / 同志社大学経済学部)
高校1年生の終わりに生徒会長に就任し、その後3期連続で務める。
「生徒主体の学校改革」を掲げ、数多くの改革を行い、県内公立校初のアイス自販機の設置や、校則の改定、新企画(行事)の実現などを行う中で、SNSを活用した広報戦略に着手し、生徒会公式TikTokを2ヶ月でフォロワー14,000人に成長させた。 この経験を生かし、高校3年生17歳で起業し、SNSマーケティング事業を展開する「株式会社ADTO」を設立し、代表取締役に就任。能登半島地震をきっかけに「ミルクとしお」プロジェクトを立ち上げ、石川県の魅力を発信しながら継続的な復興支援に取り組む。
「復旧ではなく復興へ」。若者の力でゼロに戻すだけじゃなく、むしろプラスを作りたいという強い想いをもとに精力的に活動している。
「高校生でも社会を動かせる」ことを証明するため、挑戦を続ける18歳!
イベント情報
2025年3月22日(土)、23日(日)の2日間、石川県・金沢駅もてなしドーム地下広場にてせいまさんが企画するイベント『Noto フェス』が開催されます!
Notoフェスでは、石川県を盛り上げ、能登の復興の為に、能登の美味しいグルメや石川県の伝統工芸品が金沢駅に集結!
『馬場ももこ』『ぶんぶんボウル』がMCを務めるほか、北陸を代表するアイドル『ほくりくアイドル部』や、「好きすぎて会いたい」がTikTok8億回再生を突破した『エイトMAN』による特別ライブなどイベントを盛り上げる豪華コンテンツも盛りだくさん!
更に、石川県出身のインフルエンサー・きりざきまいやモデル・大西陽羽、そしてなんと俳優・中尾明慶の出演も決定!
入場料無料なのでぜひ遊びに来てくださいね!
クラウドファンディングもチェック
Z世代に関するトレンド情報はこちらからチェック

私たち一人ひとりが属する
「コミュニティ=界隈」に注目し、
リアルな声を聞き発信していく新しい研究所。
気になる界隈はフォロー欄からチェック!
■WE LABOができること
WE LABOでは本調査をはじめ、オタク界隈、地雷界隈、中学生・高校生界隈、ダンス界隈などZ世代を中心とした様々な界隈に対する調査を定期的に行っています。「令和に実在するブラック校則」や「地雷界隈が選ぶ飲み物ランキング」など各界隈を深堀りした調査なども実施しています。調査依頼やPR、コラボレーションなどのご案件につきましては、ぜひ専用フォームよりお問い合わせください