29 10月 【インタビュー】Impedance「視覚的にも楽しんでもらいたい」若手ルーパーが語る音楽制作の裏側
2024年10月開催のWEGO主催ダンスイベント『DANCE UP NIGHT vol.9』にゲストルーパーとして出演した、ループステーションシーンをリードする若手ルーパー「Impedance」。今回は界隈で注目を集める彼に、ファンのひとりである研究員・リンがインタビューを行い、機材へのこだわり、曲作りへの情熱、ステージでのパフォーマンスの裏側など、音楽にかける熱い想いに迫ります。
インタビュー
「ループステーション」とは?
リン:そもそも「ループステーション」とはどういうものなのか教えてください。
Impedance:ループステーションとは、口や鼻から出た音を使って機材に録音し曲を作るものです。僕も普段この機械を使って曲を作ったりイベントで披露したりしています!
リン:いわゆる「ビートボックス」を使って曲を作っていくようなイメージですか?
Impedance:はい、ビートボックスを使っていろんなトラックを作ります。
リン:基本はビートボックスの技ができることが前提になりますよね?
Impedance:そうですね。メインで使う技はインワードキックでドラムの入力に必須の音で。あとはハイハットとスネア。基本この3つの音ができればループで曲を作れます。
リン:できるようになるまで難しい技ですか?
Impedance:ビートボックスでは基礎音と呼ばれる音なので、これからビートボックスとかループを始める人もコツコツ練習すればそこまで習得は難しくないと思います!
リン:なるほど!じゃあめちゃくちゃ頑張れば私もルーパーになれるかもってことですね⁉
Impedance:ですです(笑)
ルーパーとしてのキャリア
リン:ループ歴とビートボックス歴はどのくらいになりますか?
Impedance:ループはちゃんと競技としてやり始めたのは3年くらいで、ビートボックスは大体11年になります。
リン:11年!?もう小学生あたりから…?
Impedance:はい、そう考えると結構やってますね!(笑)
リン:一番習得の難しかった技ってありますか?
Impedance:一番習得の難しかった技…うーん。インワードリップベースですかね。技を知ってからしっかりできるようになるまで1年はかかったと思います。
リン:ルーパーになろうと思ったきっかけを教えてください。
Impedance:GBBという世界大会のループの動画を見て自分もやりたいと思ったのがきっかけです。
リン:どなたの動画で影響を受けました?
Impedance:一番影響を受けたのは「Thorsen」というルーパーの動画です!「Thorsen」VS「MB14」の動画を初めて見た時の衝撃は今でも覚えてます。
リン:やっぱりGBBの影響って大きいですよね。私もGBBの動画からビートボックスを知ったのですごくわかります。そういえば今年日本でGBBが開催しますが、現地は行かれますか?
Impedance:今年は行かないですね、というより実はまだ行ったことがなくて。(笑)人生初めてのGBBは自分がプレイヤーとして出場するときにしたいっていう夢があるので、来年、再来年のGBBには出場できるように頑張ります!
楽曲制作のプロセス
リン:3年ほどルーパーとして活動されてるということですが、これまでどのくらい曲を作られましたか?
Impedance:非公開の曲も含めたら50曲くらいだと思います!
リン:50曲も⁉凄すぎます!その曲たちはどこかで聴けますか?
Impedance:YouTubeを中心にSpotifyなどのサブスクで配信してます!
リン:たくさんの曲を作られてきて、作りやすい・得意なジャンルなども決まってきたりするんでしょうか。
Impedance:そうですね、ハウスとドラムンベースが好きでよく作ってます!かっこいい感じの曲が個人的にも好きで。現場で披露したときも見に来てくれた人が盛り上がるように意識して作ってたりもします。
リン:なるほど…聴き手が盛り上がりやすいかどうかまで考えて作られてるんですね。YouTubeを拝見して、アップロードされている動画がそこまで多くない印象を受けたのですが、YouTubeにない動画もあったりしますか?
Impedance:あります!過去の動画は結構メンバーシップ限定公開にすることが多くて。なので僕のメンバーシップに入ってもらえたらいろんな限定動画が見れると思います!(笑)もし僕のことを少しでも気になってくれる方がいたら、ぜひメンバーシップに入ってたくさんの曲を聴いてほしいです!
リン:メンバーシップ限定動画!これは入るしかないですね。
Impedance:(笑)
リン:ご自身で特にお気に入りの曲はありますか?
Impedance:「紫電」と「Complextro」がお気に入りです!「紫電」は初めて作ったメロディックダブステップというジャンルで、和の雰囲気と強いドロップが気に入ってます!「Complextro」はキャッチーなメロディとシンプルな展開で、誰でもノれるトラックなのが好きです。
リン:それぞれ完成までどのくらいかかりました?
Impedance:「紫電」は大体3週間くらいで、「Complextro」は4日で作りました!
リン:この2曲は現場で披露したことはありますか?
Impedance:どちらも披露したことあります!JPNCUP2023と、CUBE 2v2というイベントでやりました。Japan Loopstation CommunityのYouTubeチャンネルでアップされているので、ぜひいろんな人に見て欲しいです!
リン:お気に入りトラックを披露したときのファンの反応はどんな感じでしたか?
Impedance:2曲ともドロップですごく盛り上がってくれました!自分のトラックで盛り上がってくれるとすごく嬉しいです(笑)
リン:普段一曲作るのにどのくらいの日数かかりますか?
Impedance:トラックによって結構変わってはくるんですけど、早い時は3日くらい、遅い時は1~2か月かかっちゃう時もあります。
リン:普段曲はどの部分から作ることが多いですか?
Impedance:思い付いた部分から作るので決まってはないですね。イントロから作ることもあるし、ドロップから作ることもあります。
リン:普段曲のどの部分に力を入れて作りますか?
Impedance:ミックスを特に意識して作ります。ミックスは音を綺麗にする工程のことなんですけど、綺麗な音でトラックを聴いてもらうためには絶対に欠かせない作業ですね。
使用機材とサウンドへのこだわり
リン:今使っているマイクとヘッドホンを教えてください。
Impedance:マイクはSennheiserのe945、ヘッドホンはbeyerdynamicのDT900PROとV-MODAのCrossfade3を使ってます。これまで様々なマイク・ヘッドホンを使ってきました、が今使ってるこの3つが最強だと思ってます!
リン:どんなところが気に入ってますか?
Impedance:マイクは、綺麗に音が入ってくれるのと見た目の高級感が気に入ってます。ヘッドホンは、自分は低音が好きなので低音がはっきり聞こえるのがお気に入りです。
リン:つかぬことをお伺いするんですが、お値段っていくらでしたか?
Impedance:マイクは2.5万円前後、ヘッドホンは3~4万円の間くらいでした!
リン:結構しますね!ルーパーになるにはお金がかかるんですね。
Impedance:結構かかります。(笑)10万円ほどあればループを始めるのに必要な機材は揃うんですが、自分に合う機材を探したり他のデバイスも買うってなるとどうしてもお金がかかりますね。自分はトータル130万円くらい使ってます。(笑)
リン:ルーパー目線でおすすめのセカンドデバイスを教えてください。
Impedance:HX Effectsがおすすめです!ほかのセカンドデバイスと比べると値段が安く音作りも割と自由なのでおすすめです。
リン:セカンドデバイスの有無で作れる曲の範囲が変わったりしますか?
Impedance:セカンドデバイスあるとないとでかなり変わってきます!サウンドデザインやミックスにおいてもセカンドデバイスはあった方がいいと個人的に思います。
リン:今まで一番使ったセカンドデバイスは何ですか?
Impedance:一番使ったのはHelix LTです。もう売っちゃって今は手元にないんですけど。最近はパソコンにビートボックスの音を入れて曲を作ってます!
印象に残った大会とパフォーマンス
リン:過去一番記憶に残っている大会やイベントなどはありますか?
Impedance:CUBE UNITEです。ドイツ代表のルーパーたちを招待したイベントで、ドイツ勢とバトルしたのが凄く楽しかったです!
リン:バトルしたルーパーさんは?
Impedance:Lennardというルーパーとバトルしました!これまで2回バトルしてます。
リン:バトルをするときに意識していることはありますか?
Impedance:来てくれたお客さんに音はもちろんですけど視覚的にも楽しんでもらいたいので、ステージングは意識するようにしてます!トラックを作る段階でステージングを意識しながら作ってます。
リン:動画を見た感じ全然緊張してないように見えたのですが、緊張しないコツはありますか?
Impedance:とにかく頭の中で”練習したものをやるだけ”と考えを簡素化することですかね。そうするとリラックスして演奏、パフォーマンスができると思います。
リン:現役のルーパーさんたちに向けて、ステージの上で意識するべきことを教えてください。
Impedance:やっぱり緊張してしまうと納得いくパフォーマンスができなくなってしまうと思うので、一つはさっき言った頭の中を簡素化して変に緊張しないことと、もう一つは盛り上がってくれているお客さんの顔を見てリラックスすることを忘れないで欲しいです。知り合いだったり、めちゃくちゃ盛り上がってる人だったり、優しそうな人を探してみるのもいいかもです。(笑)
今後の目標
リン:今後の活動目標を教えてください。
Impedance:有名なレーベルに自分の曲を提供したいです!
リン:具体的にどこのレーベルかっていうのはありますか?
Impedance:具体的か、うーん…(笑)
リン:今はまだ秘密?
Impedance:今はまだ秘密で!(笑)頑張っていくので今後の活動を見守っていただけたら嬉しいです。
リン:もし今後レーベルへの提供が決まったらどのジャンルの曲にしますか?
Impedance:やっぱり得意なハウスかドラムンベースがいいなと思ってます!
リン:今回「DANCE UP NIGHT vol.9」に出演してみてどうでしたか?
Impedance:界隈が違う中、たくさんの知り合いが見に来てくれて楽しくリラックスしてパフォーマンスすることができました!ダンスを見に来ていた方々も僕のショーケースを見てくださって、後ろの方の方は曲に合わせてダンスもしてくれてて。(笑)すごく楽しかったし貴重な経験になりました!また機会があればぜひパフォーマンスさせていただきたいです!本当にありがとうございました!
Impedanceさんがゲスト出演した「DANCE UP NIGHT vol.9」のレポートはこちらから!
【WEGO DANCE UP NIGHT vol.9】レポート/GUEST「TAKA&Tossy」「Impedance」@WEGO 1.3.5…原宿店
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プロフィール
■Impedance
口から出す音をBOSSのRC-505mkIIに入力しエフェクト等を使用しながらトラックを作る、JLC所属のルーパー。本格的に活動を始めた翌年、2023年のGBB(世界大会)では一次予選順位が日本人の中でトップという好成績を収め、国内外から大きな注目を集めた。国内をメインに数々の大会・イベントに出場し、優勝経験もある実力派。
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